組立・調整方法(4輪車椅子)
基本構造と2輪との違い
4輪車椅子は、前後両方の足をサポートするため、2輪車椅子よりも複雑な構造をしています。基本的な考え方は2輪と共通する部分もありますが、特に前足のサポートと全体のバランス調整が重要になります。
4輪車椅子の主な特徴:
- 前輪の追加:前足部分にも車輪(キャスター式が多い)が付き、方向転換をサポートします。
- 前胸部サポート:犬の胸部を支えるための専用サポートやハーネスが強化されています。
- 全体のフレームバランス:前後左右のバランスを細かく調整する必要があります。
- ヘッドレスト(オプション):首を支える力が非常に弱い場合に、頭部をサポートするヘッドレストを追加できるモデルもあります。
2輪車椅子の組み立て・調整に慣れている方でも、4輪の場合はより慎重な作業が必要です。必ず取扱説明書を熟読し、不明な点は専門家にご相談ください。
前脚サポートの調整方法
4輪車椅子において、前脚(前胸部)のサポートは非常に重要です。ここが合っていないと、犬が苦しく感じたり、前足の動きが制限されたり、うまく体重を預けられなかったりします。
1. 前輪ユニットの取り付けと高さ調整
フレームに前輪ユニット(キャスター部分)を取り付けます。多くのモデルでは、前輪の高さも調整可能です。犬が自然な姿勢で立ったときに、前胸部サポートが適切な位置に来るように高さを合わせます。
2. 前胸部サポートハーネスの調整
犬の胸から肩にかけてを優しく、しかししっかりと支えるハーネスです。幅、角度、締め付け具合を調整します。
- 幅:犬の胸の幅に合わせ、きつすぎず緩すぎないように。
- 高さ(位置):犬の肩甲骨の動きを妨げない位置で、かつ胸部をしっかり支えられる高さに。
- 角度:犬の体型に合わせて、ハーネスが体にフィットするように角度を調整できるモデルもあります。
前足が完全に麻痺している場合は、前足を乗せるための専用のフットレストやブーツが付いていることもあります。その場合は、前足が自然な位置で固定されるように調整します。
▼4輪車椅子の組み立て・調整 詳細動画(前脚サポート中心)▼
特に注意が必要な箇所の解説
4輪車椅子は、調整箇所が多く、全体のバランスが重要です。以下の点に特に注意してください。
- 全体の水平バランス:車椅子に犬を乗せた状態で、フレーム全体が地面に対してほぼ水平になるように調整します。前下がりや後ろ下がりにならないように、前後輪の高さや各サポートの位置を微調整します。
- 重心の位置:犬の重心が、車椅子の適切な位置(通常は前後輪の中間かやや前寄り)に来るように、ハーネスの位置や長さを調整します。重心が後ろすぎると前輪が浮きやすく、前すぎると後輪が浮きやすくなることがあります。
- 各ベルト・ハーネスのフィット感:2輪と同様に、全てのベルトやハーネスがきつすぎず、緩すぎないかを確認します。特に首回り、脇の下、足の付け根などは擦れやすいので注意が必要です。
- スムーズな旋回:前輪キャスターがスムーズに回転し、犬が楽に方向転換できるかを確認します。キャスターの動きが悪い場合は、ゴミが挟まっていないか、注油が必要かなどを確認します。
- 犬の表情や呼吸:調整中や試乗中に、犬が苦しそうな表情をしていないか、呼吸が荒くなっていないかを常に観察してください。どこかに無理がかかっているサインかもしれません。
4輪車椅子の調整は根気が必要です。一度で完璧に合わせるのは難しいかもしれません。愛犬の様子を見ながら、少しずつ調整を繰り返してください。どうしても上手くいかない場合や、判断に迷う場合は、自己判断せずに必ず専門家(わんケアのサポートなど)にご相談ください。
無理な体勢での使用は、愛犬の体に負担をかけるだけでなく、車椅子の効果も損なってしまいます。