歩行補助具の種類と特徴
愛犬のためのいろいろな歩行補助具
わんちゃんの症状や年齢、生活環境に合わせて、いろいろなタイプの歩行補助具があります。それぞれの特徴を知ることで、今の愛犬に合ったちょうどいい歩行補助具を見つけやすくなります。
歩行補助具を使う前に、まずは獣医さんの受診を
愛犬の動作や歩き方に違和感を感じたときは、まずは獣医さんに受診を。愛犬の歩行を助ける補助具ですが、痛みのある状態や患部と歩行補助具が干渉して悪影響がある可能性もあります。また、思わぬ病気が隠れている場合もあります。焦る気持ちを抑えて、まずは受診して、愛犬の健康状態を確認したうえで使用すると安心です。
補助ハーネス
補助ハーネスは、飼い主さんがわんちゃんの体の一部を支えて、歩行を助ける道具です。歩くことはできるけど、ふらふらしているので支えてあげるのに適しています。比較的軽い症状のときや、階段の上り下り・排泄のときなど「ちょっと助けてあげたい場面」にとても役立ちます。
「胴体用ハーネスを使えば、体全体を補助するので他のハーネスはいらないんじゃないの?」という方もいらっしゃるのですが、前足や後ろ足に問題があるときに胴体用ハーネスを使用するとお腹の部分だけが支えられ、問題のある部分をうまく支えられないこともあります。愛犬の状態に合わせてハーネスも使い分けることが必要です。



- 前足用歩行補助ハーネス:前足の力が弱くなってきたとき、肩や肘に不安があるときに。
- 胴体用歩行補助ハーネス:体のバランスが不安定なときに、体幹をしっかり支えます。
- 後足用歩行補助ハーネス:後足のふらつきやナックリング、筋力低下のサポートに。
犬用車椅子
歩くのが難しくなったわんちゃんでも、自分で動く楽しさを取り戻せるように作られた補助具です。
お散歩に行ったり、おうちの中を自由に移動したりすることで、生活の質(QOL)をぐっと高めてくれます。
また、歩く以外にも寝たきりで夜鳴きが激しいときに立たせてあげることで落ち着かせたり、食事の世話や体を拭いてあげるなどのお世話をしてあげるといった用途にも使用できます。


- 2輪の犬用車椅子:主に後足が不自由な犬用。前足の力で移動します。
- 4輪の犬用車椅子:前後両方の足が不自由、または体幹が弱く全身のサポートが必要な犬用。
車椅子の選び方については、こちらのページで詳しく解説しています。
バギー・カート(介護用カート)
歩行が困難な犬や、長距離の移動が難しい犬を乗せて運ぶためのカートです。散歩や通院時に役立ちます。完全に歩けない場合や、体力を温存したい場合に利用されます。※モデル犬 コーギー・はっさくちゃん・8歳/バセットハウンド・ルーちゃん・10歳

これらの補助具は、それぞれにメリット・デメリットがあります。愛犬の状態をよく観察し、獣医師とも相談しながら最適なものを選んであげましょう。
補助具の比較表
主な補助具について、対象となる状態や用途、サポート範囲をまとめました。
補助具の種類 | 主な対象状態 | 主な用途 | サポート範囲 | 飼い主の負担 |
---|---|---|---|---|
補助ハーネス(部分用) | 軽度の筋力低下、関節炎初期、特定の動作困難(階段など) | 短時間の歩行補助、排泄補助、段差昇降補助 | 部分的(前足、後足、胴体など) | 中(常に飼い主が支える必要あり) |
2輪の犬用車椅子 | 後足の麻痺・著しい筋力低下(前足は元気) | 散歩、室内移動、リハビリ | 後足 | 小〜中(装着・調整、散歩の誘導) |
4輪の犬用車椅子 | 四肢の麻痺・著しい筋力低下、重度の体幹虚弱 | 散歩、室内移動、生活のサポート | 四肢および体幹 | 中(装着・調整、移動の補助が必要な場合も) |
カート・バギー | 自力歩行がほぼ不可能、長距離移動困難、体力温存 | 散歩(乗車)、通院、旅行 | 移動の完全代行 | 小(押す力、段差での持ち上げ) |
ここでご紹介した内容は、あくまで目安です。
わんちゃん一頭一頭、体の状態も性格も違います。
「うちの子に合う補助具って、どれなんだろう?」と迷ったら、ぜひ私たち「わんケア」にご相談ください。