「車いすで脚が弱るのでは?」という飼い主さんの不安
犬用車いすを検討するタイミングは、多くの場合、愛犬に次のような変化が見られ始めたときです。
後ろ足が弱くなってきた
立ち上がれないことが増えた
歩ける距離が短くなった
つま先がひっくり返り、甲で歩く(ナックリング)
こうした変化を見て、飼い主さんは「少しでも以前のように散歩を楽しんでほしい」と願い、車いすに乗せてみようかと考え始めます。
「できることなら、まだ自分の足で歩いてほしい」——それはどの飼い主さんも同じです。
しかし、「車いすで補助することで、かえって自力で歩く力が失われてしまうのではないか…」と考え、使うことにためらいを感じてしまう方も少なくありません。
実際はどうなのか?動かないことこそが筋力低下の引き金
結論から言うと、犬用車いすを使ったからといって、必ずしも脚が弱るわけではありません。
むしろ多くの場合、
- 散歩に行けるようになる
- 自分の意思で体を動かせる
- 外に出る意欲が戻ってくる
など、活動量がぐんと増えるきっかけになります。
⚠️ 歩くのがつらくなったときの「負の連鎖」
💡 犬用車いすは、この連鎖を止めるためのサポート道具
歩くのがつらくなると、犬はどうしても動く量が減ってしまいます。「動かない → 筋力が落ちる → さらに歩きにくくなる」という悪循環に陥りやすいのです。犬用車いすは、この負の流れを食い止め、無理なく体を動かし続けるためのサポート道具と言えます。
犬用車いすは「正しい姿勢で歩くため」の道具
犬用車いすは、歩けなくなった犬をただ乗せて運ぶ「乗り物」ではありません。
足が弱くなることで歩く距離が減ったり、きちんとした歩行姿勢が取れなくなったりしたワンちゃんが、「正しい姿勢で歩くためのサポートをする道具」だと私は考えています。
例えば、後ろ足が弱くなっていたり麻痺がある場合、多くの犬は腰が落ちた不自然な姿勢になったり、バランスを崩したりして、弱った足以外の場所(前足や首、腰など)にも大きな負担がかかるようになります。
また、後ろ足が動かなくても前足にしっかり力が残っている子は、おしりを引きずりながら移動しようとすることもあります。
こうしたワンちゃんに、きちんとした自然な歩行姿勢を取らせて前へ歩けるようにする道具——それが犬用車いすです。
車いすが適切に体を支えてあげることで、正しい姿勢で散歩できる距離が伸び、結果として運動量や筋肉の維持にもつながるのです。
「後ろ足を使わなくなる」という誤解と足先保護のコツ
「車いすを使うと、後ろ足をダランとさせて使わなくなってしまうのでは?」と心配される方もいらっしゃいます。
しかし実際には、後ろ足にまだ力が残っているワンちゃんは、車いすに乗っても一生懸命に後ろ足を動かして地面を蹴ろうとします。
後ろ足が少し下がって地面を擦ってしまう場合は、ケガをしないように足先を靴や靴下で保護してあげます。
私のおすすめは「自着性(粘着性)のある伸縮包帯」を足先に巻く方法です。
簡単に巻けて脱げにくく、お散歩で汚れたりボロボロになっても、すぐにハサミで切って新しいものへ巻き直せるため、とても手軽で便利です。
早めに試してみるメリット(「少し弱ってきたかな?」の段階で)
犬用車いすは、完全に歩けなくなってからよりも、「少し足腰が弱ってきたかな?」という段階で一度試してみるのもおすすめです。
その理由は、体力がまだ残っていて、前足が元気で、外を散歩したいという意欲があるからです。犬が「まだ自分の足で動きたい!」という前向きな気持ちを持っているうちに体験させてあげることができます。
ただし、まだ自力である程度歩けるワンちゃんの中には、初めての車いすを窮屈に感じて嫌がる子もいます。
そのときは無理強いをせず、愛犬の歩き方の様子を見ながら「また試すタイミング」を待てば良いと私は思います。焦る必要はありません。
試すときに知っておきたい3つの大切なこと
犬はその日の「体調」「気分」「お天気」などによって、歩く意欲が大きく変わることがあります。
そのため、1回試してうまく歩かなかったからといって「うちの子には合わない」と諦める必要はありません。数日〜1週間ほど様子を見ながら付き合ってみると、徐々にコツを掴んでトコトコ歩き始めるワンちゃんもたくさんいます。
犬が車いすで歩けるかどうかは、次の3つが大きく関係していると私は考えています。
車いすの調整
高さ・幅・長さが愛犬の体にぴったり合っているか
足に残る力
前足や体幹、後ろ足の残存機能の状態
犬自身の意欲
「前に進みたい」「外の匂いを嗅ぎたい」という気持ち
まとめ:愛犬との楽しい時間を取り戻すきっかけに
犬用車いすは、「歩けなくなった犬の最後の手段」ではありません。
犬が外の匂いを胸いっぱいに嗅いだり、季節の風を感じたり、飼い主さんと同じ目線で楽しい時間を過ごす——そうした愛犬とのかけがえのない日常を支えるための道具です。
もし「うちの子もそろそろかな…」「乗れるかどうか試してみたい」と気になっているなら、まずは一度お気軽にお試しいただくことをおすすめします。
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